平成4年本学に寄贈された喜多文庫は、民俗芸能研究家故喜多慶治氏の長年に渡る調査資料群である。その内訳は、各地
の芸能を撮影したスライド9,381点、カラーネガ11,939点と白黒ネガ28,700点、現像された写真、喜多氏による調査記録
のノート(以下、調査ノート)等から成る。調査期間は昭和30年代から50年代まで、調査地は本州・四国・九州のほぼ全域に
至る。調査された芸能の中には、すでに廃絶したものや変容してしまったものもある。
  喜多文庫民俗芸能資料データベースは、これらの資料の内、全国各地の民俗芸能を撮影したスライド・カラーネガ・白黒
ネガ・ネガ不明の現像写真、該当する調査ノートを対象にしてデータベース化したものである。喜多文庫の写真には、この
他に各地の風景、道祖神等の石仏、古墳等を撮影したものがあるが、それらはこのデータベースには反映されていない。各
情報は、幾ばくかの補足・訂正を行ったが、基本的には喜多氏の記述による。

 ①データベースの各項目は、以下の通りである。
  ○ 分類
     (財)阪急学園池田文庫の『日本民俗芸能 資料目録(改訂版)』(2006年刊)を参考に、「民俗舞踊・演劇一般」
     「神楽芸」「田楽芸」「風流雑芸」「人形芸」「巡遊芸」「地方舞台芸」「民俗舞踊・演劇雑」「民俗音楽一般」
     「民俗歌謡」「囃子」「祭礼・行事・儀礼」「その他」に分類をしている。これは、三隅治雄『日本民俗芸能概論』を
     下敷きにしたものである。
  ○ 民俗芸能名称
      検索の便宜のため、共通の名称を記載した。その際には、並びに各自治体・寺社のHPを参考にした。
  ○ 喜多文庫資料記載名称
      喜多慶治氏がスライドの箱やマウント、アルバム、調査記録ノートに記述されたものが上記「民俗芸能名称」と異な
      る場合に、できる限りすべて記載した。
  ○ 催会名
     寺社の例祭等で奉納された民俗芸能や、芸能大会で上演された民俗芸能の場合、例祭名や大会名を記載した。
  ○ 住所 ○ 喜多文庫資料記載住所
    「喜多文庫資料記載住所」は喜多文庫の各資料に記載された住所をそのままに記載した。その現住所を「住所」の項目
     に記載した。
  ○ 民俗芸能保持場所(寺社) ○ 撮影場所
    その芸能が伝承されている地が寺社である場合に「民俗芸能保持場所」に記載した。喜多氏に記述がない場合は、一
      部補足した場合もある。なお、芸能大会での撮影など、撮影場所が伝承地と異なる時には、「撮影場所」にその芸能
      大会が開催された場所を記載した。
  ○ 撮影年月日
     資料の性格から、撮影年月日は元号で記載した。
  ○ 備考
     その他の必要と思われる情報はここに記載した。

 ②スライド写真のマウント情報やアルバムに書かれた各写真に関する情報は、写真を拡大表示した際に写真の下に記載した。

 ③調査ノートの翻刻にあたっては、漢字表記を当用漢字に改め、誤字脱字は訂正した。また、調査ノートの内、該当民俗芸
   能に関わらない部分、他資料の引用は適宜省略した。
  調査ノートは、喜多氏が現地で書かれたものや帰宅後資料をもとに纏められたものが混在するが、その判別はかなりの困
   難を伴うため、現段階では斟酌せずに掲載する。調査ノートの更なる活用については、今後の課題としたい。

 ④詳細情報の頁に並ぶサムネイル写真はデジタル写真番号順である。写真は、白黒ネガ、カラーネガ、現像写真の順番にデ
   ジタル化して番号を付しており、スライド写真は独自の番号付している。そのため、サムネイル写真は、必ずしも祭の進
   行の順には並んでいない。
 
 本データベースの作成には、古典芸能研究センター兼任研究員の川森博司文学部教授の監修のもと、古典芸能研究センタ
ー非常勤研究員川端咲子と本学大学院後期博士課程在籍の渡部典子が携わった。
 調査ノートの翻刻は、安藤香苗・池上雅子・北川千晶・坂本美加・本田梨恵・松本佳世子・松本美保子・三浦暁子・水川
布美子・安井明子・山﨑敦子・渡部典子(五十音順)が行った。

【データ使用要項】

 ①原資料の閲覧を希望する場合は、あらかじめ古典芸能研究センターに問い合わせること。原則として貸出はしない。

 ②データベース上の資料の使用を希望する場合は、古典芸能研究センターに問い合わせること。データベースから直接コピ
   ーを行うことは、原則認めない。また、営利目的の提供については、提供料が発生する場合がある。

 ③このデータベースを利用して執筆・発表などを行う場合は、URLを明記し、本データベースを使用した旨を明らかにする
   こと。